「稲刈りが終わったら、その株はもうおしまい」
それが世間の常識ですよね。田んぼの稲は毎年、種もみから苗を育てて植え直すもの。お米は一年でいのちを終える一年草だと、ほとんどの人がそう思っていると思います。
稲の多年草化との出会い
私ももちろんそう思っていた一人ですが、いろいろな方に畑や田んぼのことを習ううち、稲は多年草であるという情報を入手しました。
(多年草とは1年でその一生を終えるのではなく、季節が巡ってくればまた新たな芽を出し、生き続ける植物のことです)
そして一昨年、耕作放棄された田んぼに出会ったことをきっかけに一冊の本を購入。
読み込んでいくうちに、稲の多年草化のすごい可能性について知りました。
その時の様子を記事にしたのがこちら。
うまくいくと、
- 無農薬で
- 苗を育てる必要なし
- 田んぼの除草も必要なし
で毎年お米が収穫できる。
そんな夢のような常識破りの稲の多年草化栽培、そのすごい可能性にワクワクしながら取り組んだ、素人の多年草化栽培挑戦の記録。
稲の花が咲く出穂までの取り組みをまとめました〜。
冬のあいだ、していたこと
去年の秋、稲を株元15センチくらいを残して刈り取った後、株を瓶に入れたまま、水を切らさないように世話をしました。目安は水深5センチ以上。時々のぞいては、減っていたら水を足す、という気楽なお付き合いです。
寒さが心配だったので、保温のつもりで黒いビニール袋を瓶に巻きつけてみました。
……が、正直これが効いていたのかは謎のまま。
正直に告白すると、うっかり水を切らしてしまったことも何度かありました。それでも稲は、静かに春を待っていてくれたようです。
春、根元から新しい芽が
そして4月。

- ヒノヒカリ:4月6日、刈り取った株の根元から新しい芽が出ているのを確認
- ひとめぼれ:4月20日ごろ、同じく根元から発芽を確認
みつけたときは感動しました!
いや、確かに本にはそういう風に書いてあったけど、本当に私でも水をやり続ければ、稲は多年生化してくれるんだということを体験し、とても嬉しくなりました。
芽が出てからは水を切らさないように気をつけて、古民家の玄関先で、日々の成長を見守る日々の始まりです。
夏、そろって穂が出た
7月中旬、出穂を確認。

面白かったのは、「ひとめぼれ」と「ヒノヒカリ」がほぼ同時に穂を出したこと。
ひとめぼれは一部、もうこうべを垂れ始めているものもありました。
本来ひとめぼれは、ヒノヒカリよりも発芽から出穂までの期間が短い品種。通常ならばひとめぼれの穂が出た2週間後ぐらいに、ヒノヒカリの穂が出るのですが、今回そろって穂が出たのは、ヒノヒカリの方が早く芽を出していたぶん、足並みがそろったからかな、と思っています。
ひとつ、不思議だったこと
穂をよく見て「あれ?」と首をかしげたことがあります。
どちらの稲穂にも、先に長い毛が生えていたのです。

ふだん苗から育てたお米の花には、あまり見かけない姿。多年草として生き延びるうちに、少しだけ野生の稲に近い姿を取り戻したのか?
理由はまだ分かりません。でも、その明らかな姿の変化が、たまらなく面白い!と思います。
刈られても、また芽吹く
一年で終わりだと思っていたお米が、瓶の中で冬を越し、また芽を出し、穂をつけた。
手をかけすぎず、ただ水を切らさないようにする。うっかりちょっと水切れしても、少しくらいは大丈夫、な植物のたくましさと、多年草化栽培の可能性に、小さくてもいいから、いつか冬でも水を蓄えられる田んぼを手に入れたいなぁなんて、夢の膨らむ出来事でした。

