出穂を迎えた夏の田んぼ
庭と田んぼそれぞれの場所ですくすくと育ってくれた稲。8月の頭には無事に出穂(しゅっすい)と言って、花芽を出して花を咲かせてくれました。ここまで順調だった稲の生育に事件が起こったのは出穂を確認してからの1週間後のことでした。
田んぼに現れた白い穂——突然の異変
田んぼを訪ねてみると、遠目からみても異様な雰囲気なのがわかりました。まだこの時期の田んぼは花が咲いたとはいえ、緑一面なのが普通です。それなのに、なにやら白いものが点々とみえています。
嫌な予感。
ドキドキしながら近寄ってみると、稲穂に明らかな異変が起こっていました。

咲いた後の花、つまりこれからお米になっていくはずの部分が、白くなって枯れていました。中身は空洞です。
…え、なんで?
ひとり田んぼで絶句、もとい、独り言の嵐です。
稲穂が白くなっている意外、稲自体に異常はありません。田んぼに水もちゃんとはいっているし。
えー、えー、えー、なんでなんでなんでー?
田んぼで一人、独り言がとまりません。
これは、もう収穫は絶望的な情況、と言っても過言ではない。
そう思いました。
驚き、困惑、悲しみ、疑問、いろんな事が頭をぐるぐるしました。
しかし暑い夏の田んぼ、そこでボーっとしてるのもしんどいのが幸いしたのか、とにかく状況を確認して、記録しようと、複数の写真をとりました。
よく見ると、かろうじて緑のままの稲穂も在りましたが、9割がたの稲穂が白くなっていました。


素人の原因探求「高温障害による不稔?」「穂いもち病?」
うーん、いったい何が…。
一通り写真を撮って、その日は帰宅。
色々調べてみた結果、1つ行きあたった理由が、「高温による不稔(ふねん)」でした。
出穂したのが8/1。そこから数日間の大阪府の気温は連日37度以上の猛暑日。
酷い日は38度、39度くらいになることもありました。
稲に限らず植物の多くは気温が37度を超えると、雄しべの花粉がうまく働かなくなり、種がみのらなくなる現象=不稔化(ふねんか)が起こるそうで、白く成った稲穂はまさに種を結べず空洞化した、と考えられました。
でも素人がネットで調べただけの結論です。そしてもしそうだとして、これからとるるべき手段はあるのか?このまま諦めるのは悲しすぎる!
と、参加している米作りのサークルのメンバーさん、素人でもお米を作りたい、というLINEグループにも写真をつけて相談。
結果、稲の白穂化にはいくつか理由があることを教えてもらいました。私が行きあたった高温障害、が可能性が高そうだ、という意見が多かったのですが。
最悪の場合は伝染性の病気もある、ということで、このまま置いておくと、まだ出穂していないヒノヒカリにも伝染してしまう可能性も否定できない。
しかも、私の小さい田んぼのすぐ横にはオーナーさんの約1反ある大きな田んぼ。
もしそこに伝染してしまったら!
そこからまた私はプチパニック!
思いがけないプロの診断はスズメ
しかし、オーナーさんは冷静でした。
「とにかく、一度実際の状況をプロに診てもらいましょう」
という何ともありがたいお言葉。
もう刈り取ってしまえ、と言われても仕方ない状況なのにもかかわらず。翌日にはプロの農家さんを田んぼに呼んでくれて、見てもらうことができました。
結果、プロの意見は。
「スズメによる食害」
・・・え、スズメ?
にわかには信じられませんでした。
え、スズメってこんなにきれいに食べるの?ほんとに?
ほぼ9割無いけど?そんなに食べちゃうの?
なんでも、この田んぼのあるあたりではまだほかの稲は出穂していないため、ここだけで実り始めたのを嗅ぎつけたスズメが集団でやってきて、食べてしまった可能性が高い、とのことでした。
そ、そうなのか。
なにはともあれ、稲の状態を見た限り、とても元気なので、病気の可能性は低い、ともいっていただけたので、一安心できました。
白穂を刈り取り、もう一度稲の力を信じる
あちこちに相談した後だったので、プロの見解を報告したところ、ありがたいアドバイスももらえました。
白く成った稲穂はもうどうにもならないけど、それを全部刈り取ってしまえば、新しくまた花がでてくる可能性が高いよ、といつもお世話になってる清阪terraceの横峯さんが教えてくれました。
マジですか!
一度はあきらめかけた収穫。まだあきらめなくていいんですね!
地獄から天国とはまさにこんな感じ。
そうとわかれば、善は急げです。
白くなった稲穂部分はできるだけ残らないように、でも葉っぱはできるだけ残るように、すべてのひとめぼれを刈りました。

うう、刈った姿は正直無残。でも、これで新しい稲穂が期待できるなら、それをまとう。
暑すぎる夏の夕方。
刈り取った白穂は念のため運び出し、その日の作業は終了しました。
再び咲いた花と、ヒノヒカリの穏やかな成長
そしてそれから5日ほど立って田んぼを訪ねてみると。
なんと!もう新しい花が芽吹いている!こんなに早いの!?
すごい、しかも一つや二つじゃありません。
そこから数日かけて、ほぼほぼ、すべての稲から新しい稲穂がでてきてくれました。

もちろん、一番初めの稲穂よりも若干数は少なく、こころなしか、小さくなった感じもしますが、それでもちゃんと稲の花が咲いてくれて、もう、いろいろあったぶん、最初の出穂よりもさらに感動でした。
米作り、こんなドラマが待っていたとは!
あ、ひとめぼれがこんなことになってしまった陰で、ヒノヒカリの方は順調に生育。無事出穂し、こちらは白く成ることなく、すこしずつ首を垂れ始めてくれていました。

ちゃんと重くなって首を垂れる=稔ってくれている、ということ。
こちらも一安心でした。
この時は本当にドキドキハラハラ、しましたが今となってはドラマチックな思い出になりました。遊暮働学、ということであくまで遊びの米作りですが、真剣に取り組んでいることで、プライスレスな思い出づくりができ、米作りの智慧も身についてきましたよ!



