庭木を傷めない剪定法、長年放置したことで悪化した庭全体の環境を整えるお手入れ法を学び、実際やってみる、そんな念願の講座を無事に開催することができました!
今回は講座の中で教えていただいた技術や考え方をシェアしたいと思います!
剪定法の基本のキ
1番、大切なことは「木を枯らさない」ということで。「絶対に枯らさない剪定法」を教えてもらいました。
それは、葉の上で切る、ということ。
葉より下の部分はその葉が光合成した栄養を受け取れるので枯れない。
葉の上に残された部分は、栄養を葉から供給されないため枯れてしまう。

考えてみれば、当たり前。でも言われて納得!めちゃくちゃシンプルでわかりやすい理論でした。
これでどこから切ったらいいの?という迷いを一つなくすことができました。
3つの切るべき枝
次に教えてもらったのが3つの切るべき枝。
どれも、風通しをよくし、虫や病気を呼び込まない環境をつくるため、に伸ばさない方が良い枝、とのことです。

立ち枝
木の幹の途中からまっすぐに立ち上がる枝。
一見、元気よく素直で良い感じにみえるけど、この枝は次の年、ブワッとたくさんの新芽を四方に伸ばす。となると、下の方で一気に混み合ってしまうとのこと。風通しを悪くしちゃう。
下り枝
下の方に向かって伸びる枝。
この枝、もともと、上にのびたかったのに、上が混み合っているせいで、下に出てきたものらしい。
今は下に伸びていても、やがては上にのびてくる。その成長に余計なパワーを使うし、混み合い具合も悪化させる。
明らかになんか無理ないか?という動きをしてる枝
ぐわ〜んと,回り込んで伸びてる枝とか、ねじれながら隣の枝を巻き込むように伸びる枝。キッツキッツに2本並んで生えてる枝。去年切ったと思われる枝のてっぺんから四方八方に伸びる多量の枝など。
なんか、変だろー。と思うものは剪定対象にしちゃいます。
だけど完璧を目指さない
これらの枝は「忌み枝」と言われるそうです。
でも「忌み枝」だからといって、何でもかんでも切らない、ということは、念を押してくれました。
残すと問題を起こす可能性が高いから、そのような名前がついたそうですが、逆に言うと「パーフェクトな枝」なんてない。
だってその環境に併せて成長した枝。環境が完璧に整っているなんて、あり得ない以上、完璧な枝だけ残す、なんて事したら木が弱ってしまうよ、とのこと。
うむ、大事なこと〜。
風の剪定
大地の再生で,有名なのが風の草刈り。
その剪定バージョン。
植物が強風にあおられ1番揺れるところから切る。できたばかりの新しい枝と硬くなっているところの境い目あたり、とのこと。
とりあえず手で枝を持ち、降ってみて確認して、切る時は葉の上という基準も少し意識しつつ切るとよい、とのことでした。
サイズダウンしたい時
しばらく放置していて巨大化した木の場合、サイズダウンさせたいことも多いですよね。
今回も大きな金木犀を少し小さくしたかったので聞いてみました。
そんな時は枝をしっかり観察。
硬さ、太さ、出方などを見て、何年目か、という意識を持って、もちろん最初に教わったポイントも忘れずに切っていくと、◯年前のサイズまで小さくできる、とのこと。
ただ闇雲に切るよりも、整ったサイズにできそうですね。
午前中はこれらの指導を踏まえてみんなで剪定に取り掛かりました!
すごいたくさんの剪定枝がでましたー!

午後からはこの一部を資材として使いながら、今度は土中環境改善に着手です。
勾配が急に変わるところは要チェック
食べられる庭は石積みした中に土を盛り、そこに植栽があります。
そのためそこには段差が存在。
この段差のところでは,上の段に降った雨が下に急激に流れ込む。この時この場所の水が流れにくい状況になっていたら、上の水が抜けなくなり、中は水浸しに。
それを予防、改善するために、石組みのきわ、に移植ごて、で表層5センチから10センチ程度に軽く溝を切っていきます。
そのままではすぐまた掘り上げた土が流れ込み、埋まって硬くしまってしまうので、そこに先ほどの剪定で出た枝や葉っぱ、もしあれば藁などを入れ、飛んで行かないように枝を刺して留めたり、軽く上から土を被せるようにします。

これで雨がふっても埋まることなく、そこに置かれた枝や葉っぱは空気と水のとおる隙間を確保しつう、やがて微生物のエサとなり、豊かな土壌環境を作ってくれる、という算段なのです。
なんて合理的!
深い穴・点穴の役割と作り方
それ以外にもやや深い(20〜30センチ)点穴という穴も開けていきます。
人の通路になっていて、踏み固められてしまいやすいところには、通行の妨げにならない程度の直径5センチ
深さ30センチくらいの穴を、大きな鉄の棒で、開けていきます。
正に大地に鍼をうっているようで、鍼灸師的には、テンション上がるポイントですw

開けた穴には藁や刈草、剪定で出た枝葉を刺していきます。
これも排水を良くしつつ、空気の流れを確保し、土壌細菌を増やしてくれます。
特に多量に水が流れ込みやすい、雨樋の排水の近くに2個と、庭の周辺を取り囲むように4〜5個の大きな点穴をあけてくれました。
特に雨樋の水が流れ込むところには大きな穴の中に割った瓦と中くらいの石で支えを作り、その上に大きな石を置く、というちょっと大掛かりな細工をしてくれました。より多くの水を受け止めて早く流してくれ、水浸しになることを防ぎ、また空気の通り道も確保してくれる。しかも飛び石みたいでカッコよくなりました。

飛び石にこのような機能があったのか!と聞いて見たら、もともとはそんな細工をしていたわけではないけども、近年、周辺環境の悪化が進行しており、少しでも大地の呼吸を助けるために、現代の技術者の方が考えられたそうです。
すごい!
こうして、たくさんの知恵と技を学び、ご参加いただいた方みなさん惜しみなく働いてくださったおかげで、庭が見違えるほどスッキリしました。


風と光が入り、新しい年を前に清々しい空気が流れ込んでくるのを、ひと足早く感じられるような気がしました。
ご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!


